Q.保釈金の金額はどのように決まりますか?
保釈金の金額は、裁判官が保釈を認めるかどうか判断する際に一緒に決められます。
保釈金は、「保釈金が取り上げられたらいやだな」というプレッシャーを与えて、きちんと裁判所に来てもらうとともに、裁判所が決めた条件を守らせるためのものですから、被告人の方が「取り上げられたらいやだな」と感じる金額でなければなりません。
裁判官は、どんな事件か、前科はないか、どのような証拠があるのかを考慮し、「逃げたい」「証拠を隠したい」という気持ちがどのくらい起きやすいかを考えます。その上で、その人の資産や、働いている人かどうか、身元引受人がいるかなど、さまざまな事情を考慮して、最終的に被告人の方にとってプレッシャーとなる額を、保釈金の金額として決めることになります。
Q.痴漢事件で起訴されました。保釈金の相場はいくらですか?
痴漢事件には、各都道府県の「迷惑行為防止条例」(またはこれに類する条例)に違反した場合と、刑法の「強制わいせつ罪」にあたる場合の二通りの場合があります。
強制わいせつ罪の方が重いため、厳しい結果になることをおそれて逃げないよう、条例違反のときに比べて金額が高くなる場合があります。
被告人の方の経済状況にもよりますが、強制わいせつの場合で200万円前後が多いようです。
Q.薬物事件で起訴されました。保釈金の相場はいくらですか?
1 単純所持・使用などの場合
薬物を使った、自分で使う分の薬物を持っていたという事件では、前科があるかどうか、自分がやったことを素直に認めているか、共犯者がいるかどうか、といった事情が考慮されます。
逮捕されたことが初めての人の場合、覚せい剤事件では起訴されてすぐの保釈で200万円、大麻事件では覚せい剤よりも低く120万円~150万円程度になることが一般的です。
2 営利目的の場合
売買目的で薬物を持っていたり、人に渡していたりした場合には、保釈が認められず、仮に認められたとしても、自分で使用する目的の場合に比べて高額になります。
過去にアトムで取り扱った営利目的の大麻栽培の事件では、保釈金が450万円になった例もあります。
Q.交通事故で起訴されました。保釈金の相場はいくらですか?
交通事故では、単純な交通事故か、飲酒運転による事故か、事故後に逃げたりしていないか(いわゆる「ひき逃げ・当て逃げ」)など、事件の内容で異なります。
単純な交通事故であれば150万円前後で保釈されることが多いようですが、ひき逃げや飲酒運転の場合には高額になり、300万円を超える額を指示される場合もあります。
Q.暴力事件で起訴されました。保釈金の相場はいくらですか?
暴力事件といっても、小競り合いのケンカ程度のものから、集団で暴行を加えて瀕死の重傷を与えるようなものまでその態様は様々ですから、保釈金もそれに応じて変わります。
集団で暴行したり、相手の方のけががとても重い場合などには、そもそも保釈が認められませんが、単発のケンカや、相手の方のけががそれほど重くないような場合には、最終的には150万円前後で保釈されることが多いと思われます。
Q.保釈金が足りない場合はどうすればよいですか?
保釈金は、原則として現金で裁判所に納めることになります。もし納めることができないと、保釈を認める決定が出ていても現実に釈放されません。
しかし、裁判所は、現金に代えて株券などの有価証券を納めさせたり、被告人でない人から「もし逃げたらきちんとお金を納めます」という内容の保証書を保釈金に代えて提出させたりしてもよいとされています。どうしても現金で納付できないときは、裁判所にこの方法で納めることを認めるよう、求めることになります。
また、経済状態から保釈金が高すぎるとして、裁判所に保釈金の額を下げるよう、別の裁判官に改めて判断してもらうことができます。